銀行窓口で確定拠出年金の加入が可能に

年金

確定拠出年金の導入

確定拠出年金は、少子高齢化により若者が減少し年金を支える層の負担軽減化や、平均寿命の延びなどから老後資金の必要額の増加が見込まれ積立金だけでは制度を支えることが難しくなることが要因にある。また、グローバル化に伴い投資基準としての比較が可能な制度導入が必要など様々な事象が重なったため導入がされた。

米国では1978年に「401k」の名称で確定拠出年金が導入され運用されている。1990年代以降、企業の活動がグローバル化されるようになり、国際比較が求められることになった。このため国際的なルールに基づき退職給付会計が導入され、従来の確定給付年金(受給する年金額がきまっている)では企業負担が増すケースが増えたため、こうした負担が企業の業績に及ばないようにとのニーズが高まり確定拠出年金(受給する年金額は運用でかわる)が導入された。確定給付年金だと、積み立て不足が発生した場合に企業は費用として負担が増え、業績悪化につながるからである。こうした面を考えると、立場が弱い労働者に負担が増えたとも考えれる。クリックすると新しいウィンドウで開きます

確定拠出年金のメリット

様々の要因が重なり確定拠出年金が導入されたが、退職給付会計の面から見ると労働者へ責任転嫁されたかたちだ。確定給付年金は、運用が計画通りに進まなくても退職者は決められた年金を受給できるため、運用利回りに気を付ける必要はなかった。企業も高い運用利回りが得られた期間には、積み立て不足などを気にすることなく確定給付年金を続けられた。しかし、バブル崩壊以降、景気低迷などもあり、運用利回りが低位で推移したことから、積立金を確保できることが難しく不足分は費用として計上を迫られるほか、企業業績の悪化や見通し不安定になることなどから、こうした影響を抑えるため、責任を労働者に移転したとも見られる。

確定拠出年金で高い運用利回りを得られれば、将来の年金額は増えるが、こうした低金利が続くなかで、確定給付年金で得られたような利回りを確保することは難しい。高い運用利回りを確保しようとすると金融・経済に対する知識が必要となってくる。高度な知識を身に着け、年間10%で運用できれば7年強で運用額を2倍にできる。確定給付年金で受け取る金額より受給額は増える。こうしたチャンスが与えられとも捉えることができる。

デメリット

確定給付年金に導入し、運用利回りが低いと年金額は増えない。確定拠出年金を契約して開始すると年金額が増えるようなイメージがあるが、運用は難しいのでマイナスになる可能性もある。確定拠出年金には、運営管理手数料(0円の会社もあるが・・)や運用として投資信託を購入すれば信託報酬などの費用が掛かる。また、60歳までは引き出しができなく、若い人が教育資金や住宅資金として利用することは困難だろう。

銀行窓口で契約が可能に

年金財政は厳しくなっているため、自己責任の原則は強くなっている。将来の公的年金の受給額は少子高齢化、マクロスライド制の導入などで増えることは想像できない。このため、確定拠出年金などを利用して、「将来の備え」をせざるを得ない。国が用意した制度を利用して安心した未来を手にいれることが必要な時代になった。確定拠出年金は、手続きが「面倒くさい」点があるが、銀行窓口で契約手続きが可能になり利用者の負担は軽減されるなど制度の普及が進むものと見られる。